特定健診・特定保健指導が導入されて5年目となる。私なりに、この仕組みを総括してみた。
改良すべき点はいつくかあるが、私が取り上げたいのは「問診票の項目」の内容の良さである。設問のバランスが良く、この内容で十分に本人の思考や行動が反映され、健康思考や健康行動を予測する上でその精度を上げてくれる。このことに気づいたのは、ウェル・ビーイングで活用している健診データ管理システム「Wellくん」に法定健診データ入れた場合と、特定健診データを入れた場合とでは、その方の発症リスクが大きく変わるからであった。「その人に起こる未来の病気は検査値の数値だけでは決められない」と思った瞬間である。
医療費や既往歴や服薬状況は既に起こった過去の健康情報であり、健診データはその人のその瞬間の健康情報である。私たちは複数の過去の情報と現在の健康情報を結んで未来に延長させたところで、その方に対する発症予測を「Wellくん」のシステム上で行なっている。当たり前のことかもしれないが、未来予測はこの方法しかないとさえ考える。
前期高齢者に対する訪問を中心とした発症予防策は、現在、医療費という過去データのみで行なっているところが少なくないが、その方々の発症と重症化の未来予測は特定健診・特定保健指導と同様の方法で行う以外、私には思い浮かばない。単に使用している薬をジェネリックに変えるだけならば、高額な面談の必要はなく、発症予防・重症化予防の方がはるかに前期高齢者納付金の削減には効いてくるからである。
(文責:鈴木誠二)