今、某予備校のCM『いつやるか? 今でしょ!』が twitter で大流行しているのをご存じでしょうか。
このCMがTVで流され始めた時、現実には圧倒的にこの逆の会話が多いので、このフレーズが流行しているように感じます。
東日本大震災後、「いつかは結婚したい」と思っていた男女が急に結婚するようになった事も、これに似ている様に思います。
営業トークではよく使われるこのフレーズも、慎重で責任を取りたがらない日本人には受け入れにくく、どちらかと云えば「徐々に」「そのうちに」「時期が来たら・・・」「他でうまく行ったら・・・」と先送りの発想が主流であると感じます。
健康保険組合を回っても、「いつかはやりたいね・・・。」「私はやりたいんだけどね・・。」「出来ればやりたいよ・・・。」の言葉をよく聞きました。
私は若い人向けのモチベーションアップの講演を頼まれることがありますが、その時によく用いるフレーズがあります。「何かをしようとする人は方法を考え、出来ればしたくないという人は言い訳を考える。進む方向は全く逆だが、使うエネルギーと時間は全く同じである」
行動科学的に考えると、人の行動を止める要因はいつくかありますが、その筆頭は「失敗したら、どうしよう」だろうと思います。責任・プライド・世間体等々が脳裏を去来します。それが不安を創り、その不安が行動を止めるのです。(失敗はできない)(よく考えよう)(いつかはやるけど、今じゃない)と。
ただ、明確なことが1つだけあります。それは、「何もしたいとどんな小さな成果も取れない」ということです。逆に「何かをすれば、それは有効ではないということも含め、成果や次の行動に有効な情報(ある意味での成果)が得られる」ということです。
自分の会社(健保)ではまだやったことがばない事は、世界中を探しても全く同じ前例がないということです。従って、コロンブスが新大陸を発見しようとした大航海時代と同じように思うのです。一度、海に出て船を動かしてみると、試行錯誤の連続ですが、「案ずるより産むが易し」であることに気づくでしょう。
レセプトの分析も健診データの分析も自分の机に置いてあるPCで十分にやれると。
失敗は誰しも怖いものですが、何かを行った結果は「成功」と「失敗」のどちらかではなく、「うまくいく(予想通り)か」「うまくいかない(予想と違う)か」のどちらかだと発想を変えてみてはどうでしょうか?うまくいかない結果は、その方向ではない事を教えてくれる羅針盤のようなものです。
まず、自分の健保の総医療費はどのくらいか?それはどのような病気でどの程度使われているのか?その病気は予防することが可能なのか否か?それは誰が起こしているのか?なぜ起こしたのか?起こした人に共通した生活習慣や健診データはあったのか?もしあったとしたら、それはどうしたら修正・改善できるのか?と考え始めることです。そして、それを誰もがわかる形(可視化)にすることです。
ここまでいけば、後は、誰を対象に、誰が責任者となって、いつまでに、何をしてもらうのか、そしてそれはやって頂けたのかを当たり前のこととして行動することです。そして、その行動結果を評価できる数値として表し、PDCAを回すという、これまた当たり前の事をするだけです。
私たちは、皆さん方の知らないことを行なっているのではなく、皆さんがまだやっていないことをやったので、うまくいくこととうまくいかないことを知っているだけに過ぎません。
基幹システムや解析ソフトはあるけれど、使ったことがないので、使い方がわからないという方のために、私たちはいっしょにやって覚えて頂く支援もしています。
「出来ればタバコをやめたい」と思っている方は禁煙できるのといっしょです。失敗やプライドを気にせず、何度でも禁煙したらいいのです。1回で禁煙できない事を「失敗」とせず、「こうすると出来ないので、次はこうしよう」と果敢に挑戦する中で「うまくいくコツ」に出会うのではないでしょうか。
「いつやるか? 今でしょ!」のCMに感じること
(文責:鈴木誠二)