データヘルス計画の本質


健保の皆さんこんにちは、鈴木誠二です。
先日、ある集団から「次年度から受診勧奨を行いたいので、説明に来てほしい」と依頼を受け、行ってきました。
健保にも地方自治体にも「データヘルス計画」が浸透しているようで、重症化予防の意識が高まっているのを感じます。
しかし、実際に話を伺うと驚きの連続でした。加入者は約30万人であるのに対して「来年度の受診勧奨を50人に行いたい」というのです。理由は健診データが対象の3割も集めきれていないというのが主な理由でした。まずはここからなのですが、何故この様な焼け石に水の様な保健事業を行うのかを考えました。
1.保健事業の方針やモデルが国→都→区と下りてきて、その集団が有する個別の問題を解決するようになっていない。
2.5年間の行動計画が既に創られており、それに従った行為が行われる。しかし、計画の作成者は現場を熟知した方ではなく、その集団に有効と考えられる具体策や期限や責任者名等が記されておらず、レビューとしての完成度は高いが、現場で使える計画書にはなっていない、その計画書に従う形になっている。
3.方針や計画を決める人と、実施する人が異なるため、実施者は「決定事項の遂行者」となり、自ら考えたり、実施時に狙いとは異なる本質的課題に気づいても、自らの責任と判断で施策を変えたりはしない。評価もしなければ、責任を問うこともしない。
と言う事に気づきました。
私は、現場の担当者に言うべき事ではないと判断して、その場を去りましたが、1つの集団の健康を管理する責任者が、その集団はどのような構成因子に分けられ、それぞれの課題は何なのか?を明確に把握しきれていない事が、効果的・効率的保健事業がうまくいかない問題の「本質」であると考えます。アンケートやヒヤリングも含め、データに基づき「誰が、なぜ問題なのか?」に明確に答えられる保健事業こそ、データヘルス計画の根幹ではないでしょうか。